■ 施工にあたって:

建築地はその昔、大沸鉄道が通っていた南山城。
吉野で製材業を営む施主様のご友人が発案したコーディネートで、
「吉野杉を使用し、京都の大工、左官で造ろう」というテーマのもとに家造りが始まりました。
日本の代表木として知られている吉野杉は、赤味で木目の良いものが特上品とされているそうです。
それを建築で使用する際は特別の想いが生じます。
設計者である施主のお父様は、「高貴薬扱いで」と先人に教えられたように
それらを使う箇所や納まりに、大変配慮されました。
また、施主様からは、今回造作に携わってくれた大工たちに
「久しく見る技を示す腕のいい職人」
「壁に組み込んだ東大寺大仏殿前の灯籠の透かし鋳物の写しの石膏、
吉祥天もこの仕事の材と技に微笑んでいるように見えました。」
とのお言葉を頂きました。
左官屋の特技である、落ち着きのある外壁カキ消しや、玄関土間のたたきなども素晴らしい仕上がりとなりました。

 

■プランについて:旧藤田設計
こちらのお家の設計士は、施主様のお父様でした。
設計は、平面グリッドを構造加工の合理的な、2K×1.5K×1.5Kの組合せを採用。

  1. 上質な木をふんだんに使用しているため、とても高貴な佇まいに。
    細かい桟の格子欄間からも職人技を感じることができます。
  2. 大きな開口部からやわらかな日が差し込むリビングダイニング。
    温もりのある暖かな雰囲気になりました。
  3. 2階部分の子ども部屋は、梁を出すことで天井高を高くしたため開放的に。
  4. 東大寺に安置されていた吉祥天立像の石膏を玄関に配しました。
  5. 屋内の木目が映える印象とはガラリと変わった、近代的な外観。

 

DATA

構造・規模/木造2階建
敷地面積/170.32m²(51.5坪)
延床面積/120.85m²(36.6坪)
設計/旧藤田設計

2012.02.19|WORKS