■ 施工にあたって:

壁・天井の仕上がりは「チリ際が命」と言うほど
チリ際がいかに綺麗に仕上がっているかが重要なポイントになります。
チリとは、床と壁面の間の板材(巾木)の幅のことで、
こちらの住まいでは、壁チリが少ない納まりだった点で
難易度の高かい施工でした。

少しでもズレが生じると最終仕上げに響くので
特に慎重に仕上げなければいけません。
一見些細な意匠の違いに見えますが、職人達にとって難易度の高い施工を経て
設計士も私たちも納得できる仕上がりとなりました。

屋根には太陽光発電システムを搭載しています。
太陽光発電システムは、どのメーカーがいいの?と良く聞かれますが
どのメーカーも一長一短あるのでどこが一番良いとはなかなか言えません。
三角屋根だとその形状に対応するメーカーを選ぶ必要がありますし
屋根面が小さければパネル一枚の発電量のあるものを載せないといけません。
あとは費用対効果が高いという事も考慮しながら、そのお家に最適なものを検討します。
今回は、色々検討した結果、一枚のパネル発電量が高く
高温にも強いパナソニックのHITを提案させて頂きました。
基本的にはメンテナンスフリーですが設置後に半年点検を行い、発電状況を確認します。

 

■プランにあたって:家吉建築デザイン/若山勉

敷地は旧街道沿いの集落の中、ご夫妻のご実家の隣地でした。
古い集落の中にあり、強く主張せず溶け込むような佇まいを心がけ
左官や板材などの優しい素材を使う計画をたてました。
遠すぎず、近すぎない、ご実家との関係性や距離感にも配慮しました。
間取りはダイニングとリビング、客間兼和室が一つながりとなった
大きなワンルームのような開放的な空間です。
共働きであるご夫妻の、帰宅後のスムーズな家事動線をイメージし
裏導線と表動線を設け、裏導線には納戸や水回りを配置、
表動線の広間や食堂は、いつもすっきりした空間になるよう計画しました。
内装の仕上げには床にカバ桜、壁・天井に漆喰を採用し自然素材にもこだわりつつ、
ご夫妻との会話の中から出てきた住まいに対するイメージも大切に、
タイルや水栓金具、照明など細かなところにお二人の小さなこだわりを散りばめました。

  1. ご夫妻の好みや個性をさりげなく出しながら古い集落の中に溶け込む主張しすぎない外観。
  2. ご実家の隣地に建つ上で、利便性とプライベートを考えた最適な距離感。
  3. 共働きのご夫妻の家事がスムーズに行われる家事動線や片付けやすい収納計画。
  4. 自然素材の良さが引き立つ仕上げや細部にわたる意匠への配慮。

 

DATA

構造・規模/木造2階建
敷地面積/422.56m²
延床面積/134.61m²
設計/一級建築士事務所 Architectural Design 家吉

2013.04.20|WORKS