■ 施工にあたって:

玄関入口を入ったすぐに設けた待合室の天井は、桐の勾配天井で仕上げています。
ペンダント照明が吊るされているその天井を、
すっきりみせたいという設計士さんのご要望に応え、
引掛けシーリングが天井に付かないように工夫して施工しました。

 

■プランにあたって:shida+hatanaka studio

世の中には、本当にたくさんの整骨院があることを、この設計を始めて初めてわかりました。
どこの駅に降りても、すぐに2、3軒の整骨院を見つけることができます。
そのため、いかに派手な看板にするかを重視した店舗が多いことにも気づきました。
私たちは、このような形で目立つ設計をしたくはありませんでした。

この整骨院の院長であるクライアントと話していると、
なんともおおらかな、山のような人だと思いました。
聞いてみると、田舎の山や緑に囲まれて育ったそうです。
こんなことを考えていて、出来てきたこの整骨院のイメージは、
・目立つけど、落ち着いた
・家のような、おおらかさ、くつろぎ感
ほんとうのことを言うと、目立ちたくない。でも、人に来てもらいたいので、控え目に存在感を出す。
おおらかな大きな屋根の下に、おおらかな人が居て、体を直してくれる。
そんなことを考えながら、設計を進めました。

敷地は、前面道路が斜めに走っている為に、敷地の一部が切り取られ、三角形の部分がある台形をしていました。
そこで、建物は敷地の台形をそのまま活かして、四角(□)と三角(△)を組み合わせて作りました。
□部分を治療室、△部分を待合とし、△は、□に斜めに取り付いているので、
屋根は勾配を一定にすると、自然に大きな三角形(△)の屋根になりました。
そして偶然にも、「家」の形ができあがったのでした。
その偶然さが、なんともおおらかで、この施設の特徴を、象徴しているように思います。
クライアントの人柄と、この建物の雰囲気が、人を引き付け、近隣の人々の憩いの場となるように期待して、設計をしました。

 

DATA

竣工:2014年11月
構造・規模/木造2階建
場所:京都府京都市中京区
敷地面積/50m²(15坪)
延床面積/56m²(16.9坪)
設計/ishida+hatanaka studio

2014.12.24|WORKS